冬芽と葉痕観察
の手引き3
  

■冬芽と葉痕による樹木名調べの実際■

◆特徴のある冬芽と葉痕
 冬芽と葉痕を観察することによって、その樹木の名前が判ることが少なくありません。一目見てその樹木の名前が判るほどの特徴を持った冬芽と葉痕をいくつかあげてみます。


オニグルミ
冬芽と葉痕の観察会で、羊や猿の顔に見えるということで、よく面白いものの見本として紹介されます。 市内では多摩川や浅川の河川敷に多く見られます。


タラノキ
葉柄内芽といって、葉痕は冬芽を囲んで丸い形になっています。 山菜として春に出たばかりの若い芽を摘まれることが多いので、中々大きい木は見かけません。


ムクノキ
ニレ科の落葉樹で、鳥が種を落とすのか林の中に点々と幼木が見られます。 大きな特徴としては顔が黒いことです。


クサギ
とても生命力旺盛な木で、林の縁などの日当たりのよいところに多いです。 雑木林の時計台といった雰囲気です。


※ その他に、冬芽と葉痕を見ただけでその樹木の名前が判るものとして、アカメガシワ、ヌルデ、ニガキ、カキ、ムクノキ、ナツハゼ、ホオノキなどがあります。


◆よく似た仲間のある冬芽と葉痕
 上に書いたものとは逆に仲間によく似たものがあって、なかなか名前のはっきりしないものもあります。


ガマズミ
コバノガマズミが似ている。名前の通りコバノガマズミの方が少し葉が小さく細長い。また実の形はコバノガマズミの方が丸い。しかし、冬芽と葉痕から両者を区別するのは難しい。


アジサイ
ヤマアジサイ、ガクアジサイなどがよく似ている。しかし、日野市近辺の雑木林内に見られるものは、ほとんどヤマアジサイなので、どこに生えているかも大きな判断材料。


ソメイヨシノ
ヤマザクラと似ている。ソメイヨシノは植栽されたものがほとんどなので、日野市内の雑木林で似た冬芽と葉痕を見かけたら、ヤマザクラの可能性大。 ヤマザクラの方が冬芽の芽鱗が荒々しい。

マルバアオダモ
冬芽の色が少し紫色っぽいのが特徴。似た仲間にアオダモやヤマトアオダモなどがある。日野市内にはアオダモの生息は確認されていないが、ヤマトアダモは少し生息している。ヤマトアオダは樹皮の色が、マルバアオダモよりも黄色っぽく、アイボリーに近い色。

※ その他に、冬芽と葉痕のよく似ているものとして、カエデの仲間、モクレンの仲間、クヌギとコナラ、クロモジとアブラチャン、マユミとコマユミなどがあります。しかし、毎冬雑木林に通って、数多く冬芽と葉痕を何回も見ていると、なんとなくその違いが分かってくるのではないでしょうか。

その4につづく (只今制作中 m(_ _)m)

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