冬芽と葉痕観察
の手引き1
  

 冬芽(ふゆめ、とうがとも読みます)や葉痕(ようこん)の多くはとても小さく、それらを肉眼で見ようと思ってもなかなかできません。特に冬芽や葉痕の形状からその樹木の名前を調べる時には、冬芽を包む芽鱗(がりん)の枚数や、葉痕と維管束痕(いかんそくこん)の形、毛の有無などが重要な決め手となりますので、10倍程の虫眼鏡があるとより楽しく、また正確に観察ができます。カキノキやシラキ、カラスザンショウなどは葉痕を見ただけで、その面白い顔から(維管束痕が目や口に見える)木の種類がすぐに判ります。観察時のポイントをまとめてみました。

 


■なるべく1年生枝(いちねんせいし)、1年枝(いちねんし)
  とも言いますが、前年の春に芽生え伸びた枝を見る。

1年生枝はいろいろな特徴が判りやすい。2年生枝以降の枝では、短枝といって冬芽が毎年重なってつく枝になる木があり、観察しにくいことがあまりす。手の届くところに枝が無いときには、木の根元から出ている萌芽や、幹からいきなり出ている細い枝を観察しますが、それも無いときは望遠鏡で見るほかに手立てはありません。


■冬芽の状態をよく見る。
互生か対生か、鱗芽(りんが)か裸芽(らが)か隠芽(いんが)か、芽鱗(がりん)の枚数、毛の有無、色、艶の有無、冬芽が伏生(ふくせい)しているか開出(かいしゅつ)しているか、冬芽の柄の有無、副芽(ふくが)の出方などを調べます。


■葉痕の形を見る。
葉痕と維管束痕のつくりだす形には、まるで人や動物の顔のように見えるものがあり、その面白さが観察の大きな楽しみでもありますが、この顔が木の名前を知る決定的な要素となることが少なくありません。


■その他
その他として枝の色、皮目(ひもく)、毛の有無、稜(りょう、枝上の直線的な盛り上がり)や翼(よく、枝上に翼状に出るコルク質の板)の有無など。

       

※ 木の名前を調べる際、特に50センチ前後の幼木や、切り株から出ている萌芽などから調べるときには冬芽・葉痕の観察が力を発揮します。しかし、樹形や樹皮、冬でも残っている枯れた葉や萎れた果実などから判ることも多く、いろいろな情報を総合して判断するのがよりよい方法ではないでしょうか。


冬芽と葉痕の用語

その2につづく

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